ビカクシダ・着生植物

屈強ビカク【ビカクシダ・ネザーランドの育て方】環境、水やり、肥料、冬越しについて徹底解説~

ビカクシダ・ネザーランド】はビカクシダ属の中では非常に丈夫な品種で苔玉や板付、ハンギングなど色々な形で育てられて楽しまれています。

ネザーランドは丈夫で育てやすいのでビカクシダを初めて育てる人にオススメの品種です。

ビカクシダじぃ

色々な育て方をしてくれてありがたい限りじゃ!

ビカクシダの事、分からないから強い品種から始めたいな!

笹の雪くん

この記事では実際に【ビカクシダ・ネザーランド】を育てている私が体験談も踏まえながら育て方を解説していきます!

結論、基本的な育て方はこのような感じです↓

ネザーランドの育て方

成長適温15度~33度

日当たり、風通しの良い場所で育てる。(夏場は遮光が必要。)

成長期は水苔の表面が乾いたら水をたっぷり与える。

冬の時期、成長が鈍化してくると乾燥気味に育てる。

用土は水苔(ベラボン)で育てる。

植え替え(苔増し)は出来れば成長期始めの春頃に行う。

そのほかにも【肥料、病害虫】なども含めて詳しく解説していきます!

それではどうぞ!

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ビカクシダ・ネザーランド詳細情報

植物名ビカクシダ・ネザーランド
原産地交配元のビフルカツムはオーストラリアの東北部などの熱帯気候に広く分布
分類ウラボシ科、ビカクシダ属
成長適温春~秋(15度〜33度
成長速度(速い~普通)
暑さ強い
寒さ強い(5度以下△)
気候日当たりと風通しの良い場所
用土水苔、ベラボン
水やり水苔が乾いたら、たっぷり

特徴

ビカクシダは株の中心部から株を覆うように丸く伸びる「貯水葉」、鹿の角のように上に伸びる性質を持つ「胞子葉」からなります。

貯水葉」は内部の構造がスポンジ状になっており、水を蓄える事のできる葉です。

ネザーランドの貯水葉

胞子葉」は文字通り葉の先端部分に胞子が着く葉です。

ビカクシダ」の名前の意味としては「ビカク」はオスの鹿の角と言う意味で、上に伸びる葉がオスの鹿の角のように見える事からきています。

シダ」はそのままシダ植物である事からきています。

別名:コウモリラン

自生地で樹木に着生し、垂れ下がる姿がコウモリに見える事から「コウモリラン」とも呼ばれています。

笹の雪くん

「鹿の角」だったり「コウモリ」に例えられたり面白い植物だね!

ビカクシダ・ネザーランド

ネザーランドはビフルカツムの交配種でオランダで交配されたと言われています。

ネザーランドは葉が垂れにくい性質で、上方向に立ち上がる鮮やかな緑の葉は生命力を感じさせます。

ビカクシダの中でも非常に丈夫なためビカクシダ初心者さんにオススメの品種です。

生育環境

ビカクシダ・ネザーランドの自生地は熱帯、亜熱帯のジャングルで樹木などに着生しています。

自生地の環境は年間の平均気温が25度、1年を通して5度~40度に変動し、5度以下になることはほぼ無いようです。夏は雨季、冬は乾燥する気候が多い。

ビカクシダは暖かく、多湿の環境を好みます。

日本の気候では、真冬以外の季節は室外で育てる事ができます。

成長期には室外で風に良く当ててあげて、葉水多めで管理していると元気に育ってくれます。

ビカクシダじぃ

葉水は大好きじゃ!

室内で管理する場合はサーキュレーターを回すなどして風の流れを作ってあげましょう。

ネザーランドはビカクシダ属の中では寒さには強いので気温が0度近くになっても耐える事ができますが、念のため5度以下になってくると室内に取り込んで冬越しをさせましょう。

日当たり

ビカクシダは耐陰性もあり、あまり強い日光に当てなくても育ちますが、できるだけ日当たりの良い環境で育ててあげた方が元気に育ちます。

ビカクシダは基本的に直射日光の当たらない半日陰に自生しており、直射日光をあまり好まない品種もいますが、ネザーランドに関しては直射日光に当てても葉焼けをすることはほぼ無いので(春、秋)の時期はどんどん日光を当ててあげましょう。

成長期に日光をいっぱいあてて冬までに出来るだけ根を張らして体力をつけさせてあげる事で、成長が止まってしまう冬の時期も調子を崩す事なく越すことができるでしょう。

ただ、流石に夏の直射日光に関しては強すぎるため、寒冷紗などで少し遮光をしてあげた方が安心です。

水やり

植物の水やりに正解は無いのであくまで参考程度に読んで頂き、自分の植物の環境にあった水やりを見つけて頂きますようお願いします。

ビカクシダ・ネザーランドは年間を通して、水苔が乾いたら水をたっぷりと与えましょう。

春~秋

春、秋、気温が15度~33度なら成長期です。

水苔が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。

板付の場合はバケツや大型の容器などに水を溜めてビカクシダ全体を水に沈めるどぶ漬けをすることが出来ます。

どぶ漬けにする場合は、水苔から気泡が出てこなくなるまでしっかりと水につけましょう。

笹の雪くん

水はたっぷり与えてしっかり乾かす!

メリハリが大事だよ!

(もちろん他の植物同様、シャワーやジョウロで水やりをしてもOKです。)

冬、気温が10度を下回ってくると成長が鈍化して水を吸う力が弱くなり、水苔が乾くまでの日数が長くなります。

成長が鈍化している時期にいつまでも水苔が乾かない状態が続いてしまうと根腐れの原因になってしまします。

冬は根腐れが起こらないように乾燥気味に育てましょう。

冬に水やりをした場合は出来るだけ暖かい部屋で管理して、サーキュレーターをしっかりと当てるなど、水苔が早く乾く工夫をしましょう。

ビカクシダ水やり時の注意点

ビカクシダはシャワーで軽く水を与える程度だと、貯水葉に阻まれて水苔の中まで充分に水が入らない事があります。

水苔は乾燥すると水を弾く性質があるので、しっかりと水苔の中まで水を行きわたらせるイメージで水やりをしましょう。

また、定期的に葉水をしてあげると葉が綺麗な状態を保つことが出来て害虫予防にもなります。

オススメの葉水スプレーです↓

冬の時期はシャワーで直接水を与えると水が冷たすぎて根にダメージを与えてしまう事があります。

ビカクシダじぃ

氷水は勘弁じゃよ!

人肌より少し冷たいぐらいの水を作って与えるようにしましょう。(※もちろん、熱いシャワーはNGです。)

用土(水苔)

ビカクシダを板付にする場合は保水力の高い水苔を使用します。

鉢に植え付ける場合も水苔でも良いのですが、排水性が心配な場合は「ベラボン」を使用しましょう。

ベラボンとは?

ヤシの実の繊維を特殊加工して作られた植物の植え込み材です。

「吸水性」「排水性」「通気性」を備えています。

水苔の産地は「チリ産」「ニュージーランド産」「国産」と色々ありますが、質の良いと言われている、「ニュージーランド産」「国産」がおすすめです。

植え替え(苔増し)

ビカクシダの根

成長期の暖かい時期に行いましょう。

おすすめは成長期始めの春(3月後半~5月)です。

本格的な成長期前に植え替え(苔増し)を行う事で、成長が鈍化する冬までに十分に根を張ることが出来て体力が付くので、冬越しが楽になります。

冬の時期、成長が鈍化しているビカクシダを無理に植え替えてしまうと、根っこのダメージを回復させられず弱ってしまうので注意が必要です。

冬場の植え替えは避けましょう。

貯水用が大きく伸びて水苔が全て覆いつくされてしまうなら、「苔増し」のタイミングです。

ビカクシダを着生させている流木や板から1度剥がして、水苔を足していきましょう。

注意!

※この時に古くなった水苔は軽く処理しても良いですが、無理に取る必要はありません、根をあまり傷つけないように新しい水苔を足していきましょう。

古い水苔を取る際に多くの根を傷つけてしまうと成長が著しく鈍くなってしまいます(経験済み)

春に植え替え(苔増し)を行うと、冬までに充分に根を張る事ができ、株も体力をつける事ができるので冬越しが容易にできるようになるでしょう。

ビカクシダじぃ

株の種類や大きさ、環境によって植え込み資材はアレンジしてみるんじゃよ!

肥料

ビカクシダは比較的、肥料を好む植物と言われており、与える肥料としては固形肥料液体肥料、があります。

固形肥料を与える場合は、水苔に緩効性肥料(マグァンプK)を入れる方法と置き肥を使う方法があります。

緩効性肥料(マグァンプK)を使う方法としては、植え替えや苔増しの際にビカクシダの根に直接緩効性肥料(マグァンプK)が触れるように水苔の中に入れます。

ポイント

マグァンプKは植物の根に触れてはじめて効果を発揮するので、使い方に気を付けましょう。

また、置き肥を使う方法としては肥料容器に置き肥を入れて、植え付けているビカクシダの上側(枯れた貯水葉の裏側に設置しましょう。

水やり時に置き肥の成分が溶け出して、ゆっくりと時間をかけて効いていきビカクシダを元気にしてくれます。

置き肥の注意点としては、肥料が直接ビカクシダの貯水葉などに触れていると肥料焼けを起こして茶色く変色し、更に悪化するとその部分がブヨブヨになって腐る事があるようです。

置き肥がビカクシダに直接触れないように置き肥を使う場合は必ず肥料容器を使いましょう。

私は「プロミック」という置き肥を使用しています。

私が使用している置き肥容器です。色が水苔と馴染んで違和感なく、置き肥の錠剤が2つピッタリ入ります。

液体肥料を使用する場合は、成長期の春~秋にかけて1か月に2回のペースで与えます。

オススメの液体肥料は「ハイポネックス原液」です。

液体肥料を与える場合は、肥料過多にならないようにまずは薄めに作って与えましょう。

ビカクシダじぃ

肥料は徐々に慣らしていく感じで与えたらよいぞ!

注意!

冬、ビカクシダの成長が止まっている時期は、肥料を与えても上手く吸収することが出来ないので与えないようにしましょう。

ビカクシダを早く成長させたい気持ちは分かりますが、

肥料を与える際は用法容量を守りつつビカクシダのコンディションを見極めて使用してください。

増やし方

ビカクシダは株分け胞子で増やす事ができます。

ビカクシダは根の先から子株ができてきます。

なので、普通に育てていると子株が出てくるかと思います。

笹の雪くん

植え付け方によって子株ができる数を増やせそうだね!

その子株を切り離し、親株と同じように水苔に植え付けて増やす事ができます。

注意!

子株をあまりに小さいうちに外してしまうと、その後の成長が著しく遅くなったり、最悪枯れてしまう事があるので、ある程度育った状態で株分けを行いましょう。

胞子で増やす方法としては、胞子葉についている胞子をとり、封筒や新聞に包んで1週間程度乾燥させます。

ピートモスなどで胞子のまき床を作り、乾燥させた胞子をまき床に撒いて高湿度を保ちながら管理していると「前葉体」という苔のようなものができ、その後、幼苗が出てきます。

細かい手順はもっとありますが、ここでは省きます。

胞子培養は少し難易度が高く、苗になるまで時間がかかります。(3ヶ月〜5ヶ月くらい)

発芽した胞子培養株は乾燥に凄く弱いので、できるだけ多湿環境で管理してあげましょう。

病気、害

病気

ビカクシダは株が弱っていたり、高温で風通しの悪い環境で育てていると、葉に黒い斑点が発生する「褐斑細菌病」を発生することがあるようです。

褐斑細菌病」は菌類によるもので、感染しますがビカクシダがすぐに枯れてしまうような病気では無いのでそこまで心配は要りません。

ただ、葉に黒く斑点が発生してしまうと見た目が悪くなってしまうので発生を予防するために風通しの良い所で乾燥気味に育てるか、黒い斑点が気になるようでしたら殺菌したハサミなどで葉の根元からカットしても良いでしょう。

ポイント

ビカクシダの葉の黒点は、老化によるものもあります。

葉の寿命が近づくにつれて黒点がでてきて、最終的に葉が黄色くなりポロっと落ちます。

なので、古い葉に黒点が付いている場合は先ずは「老化」を疑う方が無難でしょう。

害虫

ハダニ」「アブラムシ」「カイガラムシ」がつく事があります。

害虫予防には葉水が有効ですが、もし害虫が発生してしまったら薬剤を使い駆除しましょう。

おすすめの薬剤は「ベニカXネクストスプレー」です!

(カイガラムシはスプレー材が効かない事があるので見つけ次第、手作業で取って駆除した後にベニカXネクストスプレーを吹きかけましょう。)

最後

ビカクシダ・ネザーランドは凄く丈夫で、比較的安価に入手することが出来るのでビカクシダ初心者の方にオススメの植物です。

注意すべきは冬越しです。ですが、ネザーランドはビカクシダ属の中では寒さにも強い方なので、冬の時期の水のあげすぎや、冬の植え替えを避ければ、問題なく成長してくれるでしょう。

まず、ネザーランドを育ててビカクシダの経験値を高めた状態で他のビカクシダの品種にもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

安価に入手することができるネザーランドも板付や流木付けにすれば更にカッコよく飾り、育てる事が出来ます。

ぜひ、皆さんも色々な育て方でビカクシダを楽しんでください!

最後まで読んで頂きありがとうございます。

一緒にボタニカルライフ楽しんでいきましょう!

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