
イソギンチャクのような葉をもつ小型のコーデックス【フィロボルス・ラビエイ】
涼しい時期に成長が活発になる「冬型塊根」と言われています。

冬に成長する植物とは珍しいの~!
葉がワサワサしてて可愛いね!

この記事では実際に【フィロボルス・ラビエイ】を育てている私が体験談を踏まえながら育て方を解説していきます!
結論、基本的な育て方はこのような感じです↓
そのほかにも【肥料、病害虫】なども含めて詳しく解説していきます!
それでは、どうぞ!
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【フィロボルス・ラビエイ】詳細情報

植物名 | フィロボルス・ラビエイ |
原産地 | 南アフリカ |
分類 | ハマミズナ科、フィロボルス属 |
成長適温 | 春,秋,冬(8度~23度) |
成長速度 | 遅い(塊根部分) |
暑さ | 弱い |
寒さ | 強い(0度以下は△) |
気候 | 日当たり、風通しの良い場所 |
用土 | 水はけの良い用土 |
水やり | 成長期は用土が乾いたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与える |
特徴
葉は細長く多肉質で、よく見ると水泡上の粒々で覆われています↓

この粒々は自生地での強烈な太陽の日差しや、干ばつに耐える為、塩分と水分を保存できるようになったと言われています。

葉がイソギンチャクみたいで面白いね!
存在感のある葉に比べると塊根部分は小さく、ザラザラしたコルクの様な質感です↓

元々、小型のコーデックスなので塊根部分の成長は非常に遅い。
ラビエイは成長期にピンク色の繊細な花を咲かせます。



成長点に大きな花の蕾を付けた後は、沢山の日光にあててあげると開花します。
生育環境
南アフリカの冬季降雨地帯に自生しているフィロボルス・ラビエイの成長適温は8度~23度で日本では春、秋、冬が成長期になります。
年間を通して非常に乾燥した地域に自生している植物なので蒸し暑さには弱く、日本の高温多湿の夏の時期はフィロボルス・ラビエイにとって過酷な時期になります。
なので、フィロボルス・ラビエイは夏の時期には葉を全て落として休眠します。

休眠は動物で言う冬眠みたいなものじゃよ!
夏の休眠期に蒸し暑さにさらしてしまうと蒸れて腐ってしまう事があるので、涼しくて風通しの良い屋外で管理してあげましょう。
フィロボルス・ラビエイは冬型塊根と言われるだけあって寒さには強く、0度くらいなら問題なく耐えますが、0度以下になってくると葉が凍結してダメージが出てしまう事があります。
気温が0度近くまで下がる場合は室内で冬越しをさせてあげましょう。
日当たり

成長期は日当たりの良い場所で管理します。
フィロボルス・ラビエイは日光が大好きなので、日当たりの良い環境で育てる為に、成長期(春、秋、冬)には出来るだけ屋外で管理して日光を沢山当ててあげましょう。(遮光は必要ありません)
休眠期の夏は日光に当ててしまうと株の温度が上がり、蒸れの原因になってしまいます。
夏の時期は遮光するか、半日陰の風通しの良い場所で管理してあげましょう。
ラビエイは秋~春の成長期は日当たりの良い場所を好むので、どうしても室内管理になってしまう人は育成ライトを活用しましょう。
育成ライトがあれば、日照時間が短い冬の時期も「徒長」や「日照不足」で弱ってしまうことなく乗り切ることができます。
水やり
植物の水やりに正解は無いのであくまで参考程度に読んで頂き、自分の植物の環境にあった水やりを見つけて頂きますようお願いします。
フィロボルス・ラビエイは基本的に用土がしっかりと乾いてから、水をたっぷりと与えましょう。
フィロボルス・ラビエイは水不足になると分かりやすく葉を垂らします↓


水を与えると数時間後には葉が立って元通りになります↓



水不足をアピールしてくれると水やりの調節がしやすいね!
水やりの頻度が分からない方は一つの目安にしても良いかもしれません。
季節ごとの水やり方法↓
春
春は成長期です。
用土がしっかり乾いたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えましょう。
夏
初夏、気温が上がってくると徐々に葉が枯れて休眠の準備に入ります。
徐々に水やり頻度、量を減らしていきます。
全ての葉が枯れたら、休眠状態になり成長が止まるので、断水で管理をしましょう。
株が小さいうちは水切れをおこす事もあるので、月に1〜2回程度、涼しくなった夕方頃に1日で乾くくらいの少量の水を与えましょう。
秋
秋、涼しくなってくると休眠からあけて成長を始めます。
休眠からあけてすぐはまだ水を吸う力も弱いので、少な目の水やりから開始します。
ラビエイが動き出して来たら成長に合わせて徐々に水の量を増やしていきましょう。
成長が活発になってきたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

日々の観察が大切じゃよ!
冬
冬、気温が5度を下回ってくると葉が枯れる事は無いですが、成長が鈍化します。
水やりの頻度を減らしましょう。
目安としては、用土がしっかり乾いて+3日〜4日ほど空けてから、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えます。
用土

水はけの良い用土を使用しましょう。
我が家の用土は(赤玉土、鹿沼土、ゴールデン培養土、軽石、くん炭、パーライト)を混ぜた用土を使用しています。※水はけを良くするために用土は必ずフルイにかけて微塵を取り除いておきましょう。

用土作りも楽しもうね!
用土作りが難しい方は塊根植物用の培養土があるので是非活用してみてください↓
植え替え

フィロボルス・ラビエイはある程度鉢内で根がしっかり張った方が調子良く成長してくれるので2年~3年を目安に植え替えを行いましょう。
植え替えを行う際は、あらかじめ水やりを止めておき、しっかりと用土を乾燥させておきます。

植え替え時の根へのダメージを最小限に抑えるためじゃよ!
植え替えは夏の休眠からあけた成長期の秋に行います。
本格的な成長期前に行う事で成長が止まる季節(夏)までにしっかりと根を張ることが出来て、調子を崩すことなく夏越しが出来るようになるでしょう。
もし、「秋」に植え替えが出来ずに「春」に植え替えを行う場合は出来るだけ根をいじらないような植え替えを心がけましょう。
「春」に大胆に根を整理してしまうと成長が止まってしまう「夏」までにしっかりと根を張ることが出来ず、調子を崩してしまうためです。
植え替えを行う際は用土の中に害虫予防の「オルトランDX」と緩効性肥料の「マグァンプK」を入れておきましょう。

害虫予防の「オルトランDX」と肥料の「マグァンプK」は用土に混ぜて使える、僕たちの強い味方なんだよ!
植え替えはラビエイの体力を非常に使うので「夏」や「真冬」など、成長が鈍化している時期の植え替えは避けましょう。
成長が止まっている時期に植え替えを行ってしまうと、植え替え時のダメージが回復できずに弱ってしまい、最悪の場合枯れてしまうリスクがあります。
成長期が来てラビエイが動き出すまで我慢しましょう。
肥料

フィロボルス・ラビエイは植え替え時に元肥、成長期(秋〜春)に追肥を与えるとさらに元気に成長してくれます。
元肥は植え替え後の根の初期生育を助ける肥料です。
元肥は虫のわかない、肥料焼けのしにくい、「マグァンプK」などの緩効性肥料がオススメです。
緩効性肥料とは?
肥料の溶け方を遅くしたもので、植物の成長に合わせてゆっくりと土に溶けだす肥料。
植物が肥料を欲しい時に必要なだけ肥料成分を与える事が出来るので、肥料焼けを起こしにくいのも特徴です。
元肥だけでも成長させることは出来ますが、もっと成長させたい方は成長期(秋〜春)に追肥を行いましょう。
追肥として液体肥料を与える場合は月に1回~2回程度、規定より薄めた液肥を与えましょう。オススメは(ハイポネックス)です。
ですが、液体肥料を多く与える事によって起こる肥料焼けや肥料過多には注意が必要です。
休眠からあけた秋の時期に最初に液肥を与える場合は記載の分量の半分で希釈して与えてあげるのがオススメです。
肥料が上手く吸えて、成長が活発になっていることが確認出来次第、徐々に液肥の量を増やしてあげると良いでしょう。

1つ1つ植物にあった肥料の与え方をしていくんじゃよ
置き肥を与える場合は、成長期に用土の上に置くだけです。
水やりのたびに緩効性の固形肥料が少しずつ溶け出して肥料成分がゆっくりと効いてくるのが特徴です。
固形肥料(置き肥)の注意点としては固形肥料が直接、株や根に触れないように注意しましょう。
オススメは「マグァンプK小粒」です。
追肥のマグァンプK小粒に関しては用土の表面に一定量ばらまくだけで良いので、使い勝手も良くお勧めです。
また、肥料を与えられない場面(植え替え後や植物が弱っている時)では、活力剤のメネデールなどを活用しましょう。
メネデールとは?
植物の成長に欠かせない「鉄」を根から吸収されやすい「イオン」の形で含む活力剤で、植物用のサプリメントのようなものです。
肥料には入っている「窒素、リン酸、カリ」がメネデールには入っていないため、肥料過多などの心配が無い事も特徴。
増やし方
フィロボルス・ラビエイは種まきの他に「枝挿し」で増やすことが出来ます。
枝挿しは必ず成長期の「秋」に行いましょう。
元気の良い枝の一本をカッターで根元から切り放します。


切り放した枝の切り口に発根剤の「ルートン」を付けて乾かします。


枝下部の枯葉を取り除いて用土に植え込んで水を与えます。



あとは明るい半日陰で、用土が乾き次第水やりを続けていれば1~2か月で発根します↓


ラビエイは発根すると明らかに葉が立ち上がって伸びるので分かりやすいです。

その後の成長↓


挿し木は順調に成長して花の蕾が付きました。
枝挿しのラビエイは、肥大した塊根部分を形成するのに非常に時間がかかるので気長に育てて行きましょう。

増やすことは簡単でも塊根部分を作るのはやっぱり時間がかかるんだね!
病気、害虫

フィロボルス・ラビエイは風通しの悪い環境で育てていると「カイガラムシ」や「ネジラミ」が発生する事があるようです。
カイガラムシは吸汁性の害虫で、吸汁した植物を徐々に弱らせて行きます。
また、カイガラムシはスプレータイプの薬剤が効きにくく、排泄物は「すす病」の原因となってしまうので、見つけ次第ピンセットなどで取り除きましょう。
すす病とは?
植物の汁を吸う害虫(アブラムシ、カイガラムシなど)が排泄物として糖分を排泄し、その害虫の排泄物にカビが生えた状態をすす病という。
ネジラミは土の中に生息している体長2〜3mmの綿のようなカイガラムシで、植物の根に寄生して吸汁し、植物を衰弱させます。
植え替え時に必ず根を確認して、発見した場合はまず土を洗い流して、傷んだ根を取り除きます。
その後、薬剤を散布して防除し、しっかりと根を乾燥させてから植え付けます。

ネジラミは植え替えを何年もしてないと発生しやすいから気をつけるのじゃぞ!
我が家での害虫予防としては植え替えの際にオルトランDXを用土に混ぜ込んで、害虫が発生しやすい時期(5月~9月)に月に1回のペースでベニカXネクストスプレーを吹きかけています。

日々の観察で害虫が付いていないかを確認することも大事だよ!
最後に

フィロボルス・ラビエイは耐寒性があり、水切れも分かりやすく、害虫も付きにくいので育てやすい植物です。
注意すべきはやはり、休眠期の夏です。
夏場は蒸れる事の無いように特に風通しの良い場所で管理して、水やりも控えめにすれば日本の厳しい夏も乗り越えられると思います。
冬は大抵の植物が成長を止めてしまう寂しい季節ですが、冬に成長してくれるフィロボルスがいれば冬の間も植物の成長を楽しむ事が出来るのでおすすめです。
皆さんも是非、気になった冬型の植物がいれば迎えてみてはいかがでしょうか?
最後まで読んで頂き有難うございます!
一緒にボタニカルライフ楽しみましょう!