
アガベ属の中でも一際個性を爆発させている【ユタエンシス・エボリスピナ】
その力強く攻撃的な姿が好きな方も多いのではないでしょうか?

私たちと同じアガベ属なんだって
長い棘がカッコいいぜ!

この記事では実際に【ユタエンシス・エボリスピナ】を育てている私が体験談を踏まえながら育て方を解説していきます!
結論、基本的な育て方はこのような感じです↓
そのほかにも【肥料、病害虫】なども含めて詳しく解説していきます!
それではどうぞ!
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【ユタエンシス・エボリスピナ】詳細情報

植物名 | ユタエンシス・エボリスピナ |
原産地 | アメリカ合衆国、ネバダ州、ラスベガス北西部 |
分類 | リュウゼツラン科、アガベ属 |
成長適温 | 春、秋(15度〜28度) |
成長速度 | 非常に遅い |
暑さ | 強い(蒸し暑さには弱い) |
寒さ | 非常に強い(ー8度以下×) |
気候 | 日当たり、風通しが良く乾燥した気候を好む |
用土 | 排水性の良い用土 |
水やり | 用土が中まで乾いたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷり与える |
特徴
ユタエンシス系統の変異種である「エボリスピナ」の特徴としては、

おなじユタエンシス系統の「ネバデンシス」の特徴は
凄く似ているので分かりにくいですが、このような特徴の違いがあるようです。
長く、鋭く伸びた棘に牙のような鋸歯(きょし)をつけ攻撃的な姿です↓

通常、エボリスピナの棘は上に真っ直ぐ伸びますが、
私が育てているエボリスピナは【陽炎】と言われ、長く伸びた棘が陽炎の様にゆらゆらして見えるのが特徴です↓

陽炎(かげろう)とは?
地面などが熱せられた際、空気がゆらゆらと立ち昇るために景色がゆらめいて見える現象。
生育環境
ユタエンシスの自生地はその名の通りユタ州ですが、エボリスピナに限っては主にラスベガス北西部の標高1100〜1900mの山地、石灰岩の岩場に自生しているそうです。

画像引用: © WeatherSpark.com
ラスベガスの1年を通した気候は夏には40度まで上がり、冬には0度まで下がります。
雨が降る期間はほとんど無く、1年を通して山地では強い風が吹き、乾燥状態が続きます。
エボリスピナは乾燥した暑さ、寒さには強いですが日本の高温多湿の夏は苦手とするようで、日本では夏場に蒸れて枯れてしまう事が多いようです。

日本の夏場は注意しないとね!

一か月(30日)で人間が蒸し暑く不快に感じる日が何日あるかの比較表です。
高湿日 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 |
ラスベガス | 0日 | 0日 | 0日 | 0日 | 0日 |
東京都 | 0日 | 0日 | 0日 | 0.2日 | 1.2日 |
6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
0.1日 | 0.7日 | 1日 | 0.3日 | 0日 | 0日 | 0日 |
10日 | 25日 | 27日 | 15日 | 2日 | 0日 | 0日 |
気温は東京よりラスベガスの方が上がりますがご覧の通りラスベガスが多湿になることはほぼ無いようです、このことから蒸し暑さに弱いのも納得できます。

エボリスピナの自生地は年間を通して乾燥状態なんだね!
エボリスピナは日本の気候では春、秋(15度~28度)に成長が盛んになります。
夏場は30度を超えてくると成長が鈍化し、冬場は5度を下回ってくると成長が鈍化する印象です。
エボリスピナは高山性のアガベの為、寒さには非常に強く-8度までは耐える事ができるようですが、念のため気温が0度以下になるなら室内で冬越しさせましょう。
エボリスピナは他のアガベ属に比べて寒さに特に強いので冬越しは簡単にできるかと思います。
日当たり

エボリスピナは高山性の植物(アガベ)で自生地では強烈な日光にさらされています。
そのため、日当たりの良い場所を好みます。
春、秋、冬は出来るだけ日当たりの良い場所で管理してあげましょう。
ですが、上記でも記載した通り日本の夏は湿度が高く、直射日光に当ててしまうと株や鉢の温度が急上昇し蒸れるリスクが高くなってしまいます。
日光に当てる事も大切ですが、蒸れで枯らしてしまっては元も子もありません。
日当たり<蒸れ対策です。
幸いにもエボリスピナは成長が非常に遅いので他のアガベ属に比べると「徒長」の心配があまりありません。
株の温度が上がって蒸れないように、夏場は日光を避けて、管理してあげましょう。
エボリスピナは年間を通して日当たりの良い場所を好むので、どうしても室内管理になってしまう人は「育成ライト」を活用しましょう。
育成ライトがあれば、日照時間が短い冬の時期も日照不足で弱ってしまうことなく乗り切ることができます。
水やり
植物の水やりに正解は無いのであくまで参考程度に読んで頂き、自分の植物の環境にあった水やりを見つけて頂きますようお願いします。
ユタエンシス・エボリスピナは乾燥には強いので年間を通して乾燥気味に育てます。
基本的には用土がしっかりと乾いてから、水をたっぷりと与えましょう。
春
春、気温が15度~20度を超えてくると徐々に成長を始めます。
成長を始めてすぐはまだ水を吸う力弱いので、少な目の水やりから開始します。
徐々に気温が上がり、エボリスピナが動き出して成長が活発になってきたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えます。

メリハリをつけた水やりが元気に育てるコツですよ!
夏
日本の夏は蒸し暑く、エボリスピナには慣れない気候なので水やりも注意が必要です。
エボリスピナは暑さにも強いですが日本の蒸し暑い環境下では30度を超えてくると成長が鈍化します。
夏の時期は蒸れないように乾燥気味で管理しましょう。
夏の水やりは気温が高い日中に行うと、蒸れて株が痛んでしまう事があります。
必ず、水やりを行う際は気温が低くなってくる夕方頃に行いましょう。
1週間に1回程度水を与えた場合も、積極的に風を当てて蒸れる事の無いように注意しましょう。
秋
秋はエボリスピナが最も動く時期です。
水やりは通常通り、用土がしっかり乾いてから鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えます。
気温が10度を下回り成長が鈍化してきたら、徐々に水を与える頻度、量を減らしていきます。

植物の動きに合わせた水やりが大事だね!
冬
冬は気温が5度を下回ってくると成長が鈍化します。
成長が鈍化したら控えめの水やりで管理しましょう。
月に1回〜2回、株元に1〜2日で乾く程度の少量を水を与えましょう。
用土

水はけの良い用土を使用しましょう。
私が使っている用土は、(赤玉土、鹿沼土、ゴールデン培養土、軽石多め、くん炭、パーライト)を混ぜた用土です。
水はけを良くするために用土は必ずフルイにかけて微塵を取り除いておきましょう。

用土作りも楽しもうね!
植え替え

真夏と冬を避けた比較的暖かい時期ならいつでも問題無いですが、できれば成長期始めの3月下旬〜5月の間に行いましょう。
成長期始めに行う事で、成長が鈍化する季節までにしっかりと根をはることができ、体調を崩す事なく「夏越し」「冬越し」ができるようになります。
植え替えを行う際は、出来るだけ用土を乾燥させておきましょう。

植え替え時のダメージを最小限に抑えるためですよ!
植え替えを行う際は用土の中に害虫予防の「オルトランDX」と緩効性肥料の「マグァンプK」を入れておきましょう。

害虫予防の「オルトランDX」と緩効性肥料の「マグァンプK」は用土に混ぜて使える、僕たちの強い味方だよ!
「冬」や「真夏」など、植物の成長が鈍化している時期の植え替えは避けましょう。
植物の成長が鈍化している時に植え替えを行うと、植え替え時のダメージが回復できずに弱ってしまいます。
エボリスピナが動き出す春まで我慢しましょう。
肥料

エボリスピナは植え替え時に元肥、成長期(春、秋)に追肥を与えるとさらに元気に成長してくれます
元肥は植え替え後の根の初期生育を助ける肥料です。
元肥は虫のわかない、肥料焼けのしにくい、「マグァンプK」などの緩効性肥料がオススメです。
緩効性肥料とは?
肥料の溶け方を遅くしたもので、植物の成長に合わせてゆっくりと土に溶けだす肥料。
植物が肥料を欲しい時に必要なだけ肥料成分を与える事が出来るので、肥料焼けを起こしにくいのも特徴です。
元肥だけでも成長させることは出来ますが、もっと成長させたい方は成長期(春、秋)に追肥を行いましょう。
基本的に肥料をあまり必要としないエボリスピナは液体肥料ではなく、じっくりと効果があらわれる置き肥(固形肥料)がおすすめです。
置き肥を与える場合は、成長期に用土の上に置くだけです。
水やりのたびに緩効性の固形肥料が少しずつ溶け出して肥料成分がゆっくりと効いてくるのが特徴です。
固形肥料の注意点としては固形肥料が直接、株や根に触れないように注意しましょう。

1つ1つの植物にあった肥料の与え方を調整していこうね!
オススメは「マグァンプK小粒」です。
追肥のマグァンプK小粒に関しては用土の表面に一定量ばらまくだけで良いので、使い勝手も良くオススメです。
また、肥料を与えられない場面(植え替え後や植物が弱っている時)では、活力剤のメネデールなどを活用しましょう。
メネデールとは?
植物の成長に欠かせない「鉄」を根から吸収されやすい「イオン」の形で含む活力剤で、植物用のサプリメントのようなものです。
肥料には入っている「窒素、リン酸、カリ」がメネデールには入っていないため、肥料過多などの心配が無い事も特徴。
増やし方
エボリスピナは株分け、種まきで増やす事ができます
エボリスピナは他のアガベ属に比べて子株が生えてきずらいので、種から育てる方が無難でしょう。
ネットやフリマサイトで種を購入し、暖かい時期に撒きましょう。
アガベ全般に言える事ですが、発芽率は非常に良いです。
実生エボリスピナの成長過程です↓




現地球のようになるには何年かかるのかな?
株分けに関しては、子株が生えてきたら、植え替え時に親株と離し個別の鉢に植え替えます。
あとは通常管理で育てて行きます。
もし、引き離した子株に根が無い場合はこちらの発根管理を参考にしてください↓
病気・害虫

エボリスピナはアガベ属に発祥する病気、害虫には気をつけましょう。
・病気
炭疽病、葉が黒く腐っていく病気。
カビ菌の一種で高温多湿時(梅雨の時期)、株の抗体力が弱っている場合などに発生しやすい。
発生してしまうと水やり時などに菌が広がりさらに感染を広げます。
感染後の対策としては炭疽病に感染して黒くなっている部分の切除し、その後カビ菌などに有効な殺菌剤(ベンレートなど)を株本体、用土全体に散布してください。
炭疽病は一度かかってしまうとせっかくの大事な株を深く傷つけてしまう事になるので、発生を予防することが肝心です。

「炭素病」には気を付けないとね!
予防としては、カビ菌の繁殖を抑える為に風通しの良い所に置き、乾燥気味に育てましょう。
・害虫
「アザミウマ」や「カイガラムシ」が発生することがあります。
発生時期は他の害虫同様5月〜10月です。
アザミウマはアガベの新芽に潜んで、内側から葉を吸汁し傷つけていきます。
傷つけられた葉は枯れる事は無いですが、非常に見た目を損ねてしまいます。
被害がひどい場合は成長点が奇形になり開かなくなる場合があるので注意します。
カイガラムシも吸汁性の害虫で吸汁された植物は徐々に弱ってしまいます。
カイガラムシはスプレータイプの薬剤も効きにくいので発生してしまうと厄介な害虫です。
また、排泄物は「すす病」の原因にもなるので見つけ次第ピンセットなどで取り除きましょう。
すす病とは?
植物の汁を吸う害虫(アブラムシ、カイガラムシなど)が排泄物として糖を排出し、その害虫の排泄物にカビが生えた状態をすす病という。
対策としては、害虫が発生しやすい時期(6月か〜9月)にオルトランDXを月1回のペースで撒く、
同じく害虫が発生しやすい時期に「花いとし」などを散布すると害虫を防除できます。
花

他のアガベ属同様、一生に一度だけ最後に立派な花を咲かせて枯れてしまいます。

立派な花が見られるのは嬉しいけど、枯れてしまうのは少し寂しいね。
アガベ属が花を咲かすのは非常に珍しいと言われ、「センチュリープラント」とも言われています。
ですが、実際の自生地では15年〜20年程で花を咲かせるようです。
最後に

エボリスピナは高山性の植物で他のアガベ属に比べて少し気難しいと言われますが、
暑さや寒さに強く、温度を気にする必要があまり無いので私は育てやすいと感じています。
ただ気をつけるべきは「蒸れ」です。
日本の気候はどうしても湿度が高く蒸れやすいので、出来るだけ風通しの良い所で乾燥気味に育ててあげる事を意識しましょう。
そうする事でエボリスピナを元気に成長させてあげる事ができるでしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
一緒にボタニカルライフ楽しみましょう!