コーデックスの王様と言われるオペルクリカリア・パキプス
ゴツゴツとした塊根に稲妻のように伸びる枝、その風格漂う姿から非常に人気の植物です。
塊根の王様と言われるだけの風格があるよね!
現地では樹齢100年以上のパキプスもいるみたいだよ!
この記事では実際に【オペルクリカリア・パキプス(実生株)】を育てている私が体験談を踏まえながら育て方を解説していきます!
結論、基本的な育て方はこのような感じです↓
そのほかにも【肥料、病害虫】なども含めて詳しく解説していきます!
それでは、どうぞ!
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オペルクリカリア・パキプス、詳細情報
植物名 | オペルクリカリア・パキプス |
原産地 | マダガスカル |
分類 | ウルシ科、オペルクリカリア属 |
成長適温 | 春~秋(20度~35度) |
成長速度 | 枝が伸びるのは早いが塊根部が太くなるのは遅い |
暑さ | 強い |
寒さ | 弱い(5度以下は×) |
環境 | 日当たり、風通しの良い場所で管理 |
用土 | 水はけが良く、ある程度保水力のある用土 |
水やり | 成長期には土が乾いたら鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与える |
特徴
パキプス(現地球)はずっしりとした塊根部分がボコボコとした表皮で覆われており↓
枝はジグザグに伸びて小さく可愛らしい葉を密に付けます。
その、ギャップのあるカッコよさに大人気のコーデックスです。
パキプスの現地球はコーデックス好きの夢だね!
我が家に迎えた当初のパキプス実生(2年目)↓
この立派なパキプスの根っこは「パワータンク」とも言われており、成長と共にこのパワータンクは増えていきます↓(2年後)
増えたパワータンクは切り放して、「根ざし」という方法でパキプスの数を増やすことが可能。
生育環境
オペルクリカリア・パキプスはマダガスカルの南西部(トゥリアラの一部)に自生しています。
画像引用: © WeatherSpark.com
マダガスカル、南西部(トゥリアラ)の気候は年間の平均最高気温が30度を超える熱帯地帯です。
年間最低気温は約15度程度で、10度を下回る事はほぼありません。
このことから、オペルクリカリアパキプスの成長適温は20度~35度で、日本では春、夏、秋の時期に成長が盛んになると言えます。
春、最低気温が15度以上になると室外管理が可能です。室外で温度差、風、太陽光に沢山当ててあげましょう。
夏の時期に室内管理を行う際に注意すべき事は蒸れです。
風通しが悪く、空気が淀んでいると土の渇きが遅くなり、鉢内が蒸れて最悪の場合、根や本体が腐ってしまう事があります。
逆に冬の寒さには弱いので、最低気温が10度近くになってきたあたりから紅葉~落葉が始まり、休眠の準備に入ります。
休眠の準備に入ったら、室内管理に移行して冬越しをさせましょう。
パキプスは意外に強い植物なんだね!
冬の間、室内管理中も日光や育成ライトを当ててあげると耐寒性も高めることが出来て、調子を崩さずに冬越しができるようになります。
休眠する植物を初めて育てる方はびっくりしてしまうかも知れませんが、落葉して枯れ木のような姿になっていても、暖かくなるとちゃんと新芽を出して成長してくれるので安心してください↓
日当たり
年間を通して日当たりの良い場所で栽培します。
パキプスは日光不足になると枝が徒長して少し不格好な姿になってしまうので、コンパクトな枝ぶりで葉を密集させたい場合は強い日光に当ててあげましょう。
室内の日当たりの良い場所でも、マダガスカルの強い直射日光を浴びて育っているコーデックスたちには全く日光が足りません。(※部屋の窓に使われているガラスは大抵の場合UV遮光ガラスになっているため。)
春、夏、秋の成長期は出来るだけ室外管理で直射日光に当ててあげましょう。
やっぱり、自然の太陽光が一番なんだね!
パキプスは年間を通して日当たりの良い場所を好むので、どうしても室内管理になってしまう人は育成ライトを活用しましょう。
育成ライトがあれば、日照時間が短い冬の時期も「徒長」や「日照不足」になることなく乗り切ることができます。
我が家で使用している育成ライトです↓
我が家では夏の季節でも遮光無しで直射日光に当てていますが葉焼けなどの症状が出た事はありません。
我が家での夏の直射日光を照度計で測ると5万6千ルクスと表示されていました!
これぐらいの直射日光で有れば葉焼けの心配などはいらないみたいです。
日光をガンガン当てて元気に育ててあげましょう。
日光が足りているか不安な方は一度「照度計」で測ってみてください。
自分が思っている以上に日光が足りていないかもしれません。
水やり
植物の水やりに正解は無いのであくまで参考程度に読んで頂き、自分の植物の環境にあった水やりを見つけて頂きますようお願いします。
オペルクリカリア・パキプスの基本の水やり方法は、用土が乾いたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えます。
春
春、気温が20度近くになってくると休眠期から空けて、芽吹き出します。
休眠開け直後はまだ水を吸収する力が弱いので少量の水やりから開始します。
パキプスの葉の生え具合を観察しつつ徐々に水の量を増やしていきましょう。
葉が完全に生えそろって成長が活発になってきたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えます。
日々の観察が大事だね!
夏
夏、パキプスは成長期には非常に水を欲します。
用土が乾いたら鉢底から水が出てくるまでたっぷりと与えましょう。
葉っぱが全て生え揃っている場合は、蒸散が活発に行われるので非常に水の渇きが早いように感じます。
蒸散とは?
主に植物の葉の気孔から植物の体内にある水分が水蒸気になって外に出る事。
成長が活発になっている時期に、こまめに葉水をしてあげる事で成長も早く、調子も良くなります。
葉水は害虫予防にもなるからこまめにしてあげようね!
秋
秋、まだ気温が高く、葉が落葉していないのなら通常通り用土が乾いてからたっぷりと水を与えます。
気温が下がってくると葉が紅葉し、徐々に葉が落ちていき、休眠の準備を始めます。
葉が無くなってくると葉の蒸散機能がほぼ無くなるので土の渇きが遅くなります。
しっかりと土が乾いていることを確認しながら冬の管理に向けて徐々に水やり頻度を減らしていきましょう。
冬
完全に落葉して休眠に入ったパキプスは断水気味の管理をしましょう。
12月、1月、2月の真冬の3か月の間は月に2回程度株元の土を湿らす程度で軽く水を与えています。
そうすることで細根が完全に枯れてしまう事を防ぎ、春からの休眠開けにスムーズに動き出すことが出来ます。
用土
ある程度の水もちと水はけの良い用土を使用しましょう。
我が家の場合は(赤玉土、鹿沼土、ゴールデン培養土、軽石)を混ぜた用土を使用しています。
上記の配合用土だとパキプスには少々水はけが良すぎると思うので、
水もちの良さは、大きめの鉢を使って水が早く乾きすぎ無いように調節しています。
また、大きめの鉢を使う事でパキプス特有の「パワータンク」も形成しやすいというメリットもあります。
一回り大きい鉢でのびのび育ててあげようね!
用土作りが難しい方は塊根植物用の培養土があるので是非活用してみてください↓
植え替え
パキプスはパワータンクを付けるので、他の植物と比べて根鉢になりやすいですが、ある程度しっかりと根を張った方が元気に育ってくれるので2~3年を目安に植え替えを行いましょう。
パキプスが休眠から覚めて動き出す、春(3月後半~5月)に行います。
出来るだけ用土は乾かしてから植え替え作業を行いましょう。
パキプスの根っこは脆くちぎれやすいので、優しくほぐす程度で出来るだけ生きている根は傷つけずに植え替えを行います。
そうすることで、根っこへのダメージを最小限に抑えて植え替えを行う事ができ、休眠開けにスムーズに成長させることが出来ます。
植え替えの際には用土の中に緩効性肥料の(マグァンプK)と害虫予防の(オルトランDX)を入れておきましょう。
植え替え時に、元肥のマグァンプKを入れておくだけでもグンと成長してくれるから忘れずに入れておこうね!
肥料
パキプスは植え替え時に元肥、成長期(春〜秋)に追肥を与えるとさらに元気に成長してくれます。
元肥は植え替え後の根の初期生育を助ける肥料です。
元肥は虫のわかない、肥料焼けのしにくい、「マグァンプK」などの緩効性肥料がオススメです。
緩効性肥料とは?
肥料の溶け方を遅くしたもので、植物の成長に合わせてゆっくりと土に溶けだす肥料。
植物が肥料を欲しい時に必要なだけ肥料成分を与える事が出来るので、肥料焼けを起こしにくいのも特徴です。
元肥だけでも成長させることは出来ますが、もっと成長させたい方は成長期(春〜秋)に追肥を行いましょう。
追肥として液体肥料を与える場合は月に1回~2回程度、規定より薄めた液肥を与えましょう。オススメは(ハイポネックス)です。
ですが、液体肥料を多く与える事によって起こる肥料焼けや肥料過多には注意が必要です。
春の時期、最初に液肥を与える場合は記載の分量の半分で希釈して与えてあげるのがオススメです。
肥料が上手く吸えて、成長が活発になっていることが確認出来次第、徐々に液肥の量を増やしてあげると良いでしょう。
液肥は薄め薄めを意識しようね!
置き肥を与える場合は、成長期に用土の上に置くだけです。
水やりのたびに緩効性の固形肥料が少しずつ溶け出して肥料成分がゆっくりと効いてくるのが特徴です。
固形肥料(置き肥)の注意点としては固形肥料が直接、株や根に触れないように注意しましょう。
オススメは「マグァンプK小粒」です。
追肥のマグァンプK小粒に関しては用土の表面に一定量ばらまくだけで良いので、使い勝手も良くオススメです。
また、肥料を与えられない場面(植え替え後や植物が弱っている時)では、活力剤のメネデールなどを活用しましょう。
メネデールとは?
植物の成長に欠かせない「鉄」を根から吸収されやすい「イオン」の形で含む活力剤で、植物用のサプリメントのようなものです。
肥料には入っている「窒素、リン酸、カリ」がメネデールには入っていないため、肥料過多などの心配が無い事も特徴。
増やし方
パキプスは「根ざし」と「枝挿し」で増やすことが出来ます。
根挿し
パキプスは成長すると太く立派な「パワータンク」と呼ばれる根を複数付けます。
植え替えの際にパワータンクを本体から切り離して、用土に植え込んで完成です。
パワータンクを全て切り取ってしまうと本体が弱ってしまうから、一つは必ず残しておこうね!
※念のため、切り口から細菌が入って病気にならないように本体とパワータンクの切り口に殺菌剤(ベンレートやダコニール)を塗っておきましょう。
通常の管理、水やりをしていると芽が生えて、枝が伸びてきます。(※水やりの際は切り口が完全に乾くまで切り口に水が付かないように注意しましょう。)
切り放した本体は2~3日空けて切り口が乾いてから水やりをしましょう。
実際に植え替えの際に落ちてしまった小さなパワータンク2個を根挿ししました↓
日当たりの良い場所で用土の表面が乾いたら水やりを繰り返して、4ヶ月後↓
1つのパワータンクは枯れてしまいましたが、残ったパワータンクからはパキプス特有の枝葉が伸びています。
根差しは大きいパワータンクを使うと成功確率も上がるよ!
枝挿し
パキプスの成長が盛んな時期に「枝挿し」で増やすことが可能です。
成長期に元気な枝を剪定します。
その枝の切り口に「ルートン」や「オキシベロン」などの発根促進剤をつけます。
「種まき・挿し穂用土」に枝を植え付けて直射日光の当たらない明るい場所で管理します。
1か月ほどで発根してくるのでその間は用土を乾かさないように水やりを行いましょう。
病害虫
我が家のパキプスに害虫が付いたことはありませんが「ハダニ」や「カイガラムシ」が発生する事があるようです。
ハダニは暖かく、乾燥している環境で発生しやすい害虫で葉の養分を吸汁する非常に小さい害虫です。
ハダニの予防方法としては葉水をして乾燥するのを防いであげましょう。
葉の近くにクモの巣のようなものを発見した場合、「ハダニ」が発生している可能性があります。
見つけ次第水で洗い流すか、ひどい場合は薬剤を散布して駆除しましょう。
カイガラムシは吸汁性の害虫で排泄物は「すす病」の原因となってしまうので、見つけ次第ピンセットなどで取り除きましょう。
すす病とは?
植物の汁を吸う害虫(アブラムシ、カイガラムシなど)が排泄物として糖分を排泄し、その害虫の排泄物にカビが生えた状態をすす病という。
害虫は1度発生してしまうと、駆除するのが大変だから発生してしまう前の予防が肝心だよ。
我が家での害虫予防としては植え替えの際にオルトランDXを用土に混ぜ込んで、害虫が発生しやすい時期(5月~9月)に月1回のペースでベニカXネクストスプレーを吹きかけています。
日々の観察で害虫が付いていないかを確認する事も大事だね!
最後に
今回はオペルクリカリア・パキプス(実生)の育て方を解説してきました。
オペルクリカリア・パキプスは比較的、根腐れしにくく非常に育てやすい植物です。
いっぱい日光を浴びさせて、成長期には水をたっぷり与えると元気に育ってくれます。
塊根部分が現地球のようにボコボコの姿になるのは時間がかかりますが、成長期には旺盛に枝を伸ばして小さく可愛らしい葉っぱを沢山つけて植物の生命力を見せてくれます。
塊根の王様と言われるほどの魅力たっぷりのオペルクリカリア・パキプス!
現地球にはなかなか手が出せない皆さんも「実生」や「根ざし」から迎えてみてはいかがでしょうか?
最後まで読んで頂き有難うございます!
一緒にボタニカルライフ楽しみましょう!
パキプス1年間の成長記録
(3月〜10月)
1シーズンを終えて、見違えるほどに成長してくれました!
細かった枝は3〜4倍にも太くなっています。